ピルの中でも低用量ピルは、避妊のためだけではなく、生理周期を整えたり、とてもつらい生理痛(生理不順)の改善として使われることが多くなってきました。生理痛がひどいんですという人ってたくさんいるようです。しかし、副作用として血栓ができやすくなるのも事実なんです。
低用量ピルの使用の目的は
低用量ピルや超低用量ピルを生理不順(生理痛、不正出血やホルモンバランスの乱れの改善)、乱れがちな生理周期を整えたり、仕事・旅行のために生理の時期をずらしたりするために使う人も多くいます。子宮筋腫持ちで生理が重いために、対策として低用量ピルを長期間愛用しているような方もいらっしゃるようです。
やはり副作用が心配
副作用が出にくいように改良されているとは言え、やはり血栓症(血管内に血のかたまりが詰まる病気)が発症する可能性はあります。
血栓症の早期発見のためにも定期的な診察が必要です。
次のような症状が現れた場合には、すぐに救急医療機関を受診する必要があります。
・突然、足が腫れたり痛みがある ・足の脱力や麻痺 ・突然、息切れや胸の痛み ・激しい頭痛、舌のもつれ・ろれつが回らない ・突然の視力障害(視界が見えにくくなる) |
【 突然、足が腫れたり痛みがある 】
太ももやふくらはぎといった足の静脈に血栓が詰まってしまうことで、突然に足が腫れたり痛みが出ている場合が多いと考えられます。『深部静脈血栓症』と呼ばれている症状です。
【 足の脱力や麻痺 】
足の脱力感やマヒが感じられる場合には、足の静脈に血栓が詰まる場合の深部静脈血栓症、もしくは、足の動脈に血栓が詰まる閉塞性動脈硬化症の可能性が高いです。
【 突然、息切れや胸の痛み 】
息を吸うと胸を押しつぶされそうな痛みや息切れ、さらには血を吐くなどの症状がある場合には、心臓や肺の周辺の静脈に血栓が詰まっている可能性が高いです。最悪は命に関わる状況になります。
【 激しい頭痛、舌のもつれ・ろれつが回らない 】
脳から外へ出ていく血管(静脈)が集まっている場所が脳静脈洞と呼ばれていますが、その脳静脈洞に血栓が詰まるのが脳静脈洞血栓症です。最も多いのが激しい頭痛で、おう吐やケイレンもあります。ピルを使用している人に比較的多い血栓として、発症します。
【 突然の視力障害(視界が見えにくくなる) 】
目の網膜には細い動脈と静脈が絡み合うように走っており、その静脈が詰まってしまうのが、網膜静脈閉塞症です。ピルを使用している人は、両目が同時に見えにくくなるよりは、片方の目がかすむという症状が起きやすいようです。
年齢によっては、血栓症の確率が高くなる?
ピルを使っている人で、血栓症になるのは、30代~40代が圧倒的に多くなります。35歳以上になると血栓症を発症する人が15歳~34歳までの人に比べて、約40倍も発症しやすくなるという調査結果からも言えます。(厚生労働省による平成20年患者調査の結果)
したがって、35歳以上になると、ピルの処方にいろいろと制限が増えるのは、副作用である血栓症の発生確率がぐっと高くなって、最悪は死亡にまで及んでしまうからです。
生理不順を和らげるには使ってしまう・・・
ピルの服用者が血栓症になりやすいのは分かっていても、生理不順のつらさから、それでもピルを使いたいと思う方もたくさんいます。
血栓症を起こさないためには、どのような対策があるのでしょうか?
ピルを服用していてもいなくても、乱れた食生活・生活習慣や運動不足などにより血液ドロドロになっていると、血栓が出来やすい状態と言えます。
日頃から血液サラサラになる成分を含む食品を摂るようにして、血液サラサラに保つようにすることで、血栓症を予防することができます。
ピルを服用するには、できるだけ血液サラサラにしておく必要があるのです。