高くても低くてもなんとなく心配な中性脂肪値。中性脂肪の基準値はいくらで、どれぐらいの数値なら安心なのでしょうか? 正常値の範囲についてご紹介します。
中性脂肪とは?
何かと悪く言われることの多い『中性脂肪』ですが、実は人間が生きていくためにはなくてはならないエネルギーの貯蔵庫で、少な過ぎると体温の維持などの基本的な制御さえできなくなります。
しかし、必要以上に貯めこんでしまうと、エネルギーに変換されない中性脂肪は、善玉コレステロールを減らして悪玉コレステロールを増やしてしまいます。
その結果、血管にコレステロールが付着したり、血液がドロドロになったりして、動脈硬化や虚血性心疾患、肥満症による糖尿病などを引き起こす要因となってしまうのです。
ところが、コレステロールに上限値を設ける科学的な根拠がないとの見解から、厚生労働省が出す『日本人の食事摂取基準(2015年版)』からは上限値が削除されました。
コレステロールと生活習慣病の因果関係の有無がはっきりしないというのです。
このことによって、コレステロールと関連性の高い中性脂肪についても、その基準値においては矛盾が起きてしまっています。
中性脂肪が高くなる原因とは
【 食べ過ぎ 】
人は生きるために必要なエネルギーとして炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質を食べるのですが、食べすぎて必要以上に摂ると、最終的に中性脂肪として皮膚の下、内蔵や肝臓に脂肪が蓄積され、皮下脂肪、内蔵脂肪、脂肪肝となってしまいます。
【 アルコールの摂り過ぎ 】
アルコールは、脂っこいものなど中性脂肪になりやすい食べ物の食欲を増して、食べ過ぎるようにしてしまったり、中性脂肪の合成をうながす酵素を活発にしてしまうので、中性脂肪が増えてしまいます。
【 運動不足 】
当然のことですが、食べたエネルギーよりも消費するエネルギーが運動不足によって少なくなってしまうと、余ったエネルギーは中性脂肪として蓄えられるので、中性脂肪は増えていきます。
中性脂肪が高いと発症する病気
中性脂肪が血液中で増えると、脂質代謝の異常を引き起こすようになります。そうなると、血液中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減少して、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増加するようになります。
血液中に中性脂肪や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が多くなってしまうと、血管の内側を傷つけるようになり、その傷から悪玉コレステロールが血管壁の中に入り込んで、血管の内側を細くしてしまいます。
血管壁に入り込んだ悪玉コレステロールは、血管内にコブのように膨れるのですが、このコブが破れやすく、破れてしまうと、その傷を修復するために血のかさぶた(血液のかたまり)が出来ます。
この血液のかたまりは、血栓となってしまうので、血管を詰まらせやすくなります。つまり、動脈硬化の原因となってしまいます。
動脈硬化である血管の詰まりが、心臓の近くで発生すると心筋梗塞になるし、脳の近くで発生すると脳梗塞にまで発展してしまう可能性があるんです。
中性脂肪の基準値
それでは、中性脂肪の基準値はどこまでだと大丈夫なのかを見てきたいと思います。
人間ドックや企業の健康診断などで基準とされる数値は、全国で統一されていないため、各施設が独自に決めたり、学会が公表する判別値を使ったりしています。
しかしこの判別値についても、学会によって見解にズレがあるため、検診で中性脂肪が基準値以上だと言われても、別の医療機関では適正値だと言われることもあるわけです。
【日本動脈硬化学会・日本人間ドック学会】
30~149mg/dlが適正値とされ、これ以上の数値の場合、検査・治療などの対応が必要とされます。
【日本脂質栄養学会】
中性脂肪や総コレステロール、悪玉コレステロールの値に上限を設ける必要はないとの見解です。
しかし、これについては他の学会や専門家との間で論争となっており、未だに決着はついていません。
新しい基準値?
2014年4月、人間ドック学会と健康保険組合連合会が、血圧やコレステロール、中性脂肪などの数値を緩和する新しい基準案を発表しました。
これは、人間ドックの検査データを分析した結果、基準範囲を超えていても、実際は健康である人が多かったための見直しとされています。
新しい基準案は、平成23年に人間ドックで検査を受けた150万人の中から特に健康な1万人を選び出し、その検査データを基に導き出された数値です。性別や年齢差が認められるものは反映されています。
これによると、中性脂肪については、以前は男女とも150未満が基準とされてきましたが、新基準では男子の場合198未満に緩和、女子の場合134未満と逆に厳しくなりました。
男性:39~198mg/dl |
しかし、これは「平成23年の時点では異常なし」という人達のデータでしかなく、将来にわたっての健康を保証するものではありません。
他の学会は「病気のリスクを見逃す恐れがある」として、この新基準案に対して注意を呼びかけたりしているため、新たな基準値がどの程度浸透するかは未だ不明です。
結局、基準値はどれ?
こうした数値を健康の目安にしたい私達からすると、いろいろな数値を示されても、どれを信用すればよいのか分からず、一本化してもらいたいというのが本音です。
今のところ、日本医師会が日本動脈硬化学会を支持している事もあり、医療関係者の間ではその数値を基準とすることが多いようです。
しかし、人間ドック学会の数値も参考に…とバラつきもあるようで、各医療機関に判断を任せているというのが実情です。
中性脂肪基準値の注意点
人間ドックや健康診断における中性脂肪の数値は、血液中にある中性脂肪の濃度を数値化したものにすぎません。
中性脂肪は、血液中はもちろん、内蔵や皮膚の下などの体脂肪の中にもあります。
痩せていても血液中の中性脂肪は多い人もいますし、肥満気味の人でも血液中の中性脂肪は意外に低いこともありえます。
全ての中性脂肪値を表したものではなく、あくまで断片的な数値であることを忘れないようにしましょう。
また、血液は常時循環しているものなので、その日食べたものや体調によって変動する一時的な数値でしかありません。
今日正常だったとしても、1週間後には危険値という事態も全く不思議ではないのです。
一時的な数値に一喜一憂せず、日常的に適正値を保つ努力を続けましょう。
薬に頼らないで中性脂肪の値を基準値内にするには!
このように色々な考え方があって、どれが中性脂肪の基準値になるのかは、明確にこれが正解とは言えないのですが、従来の基準値を大きく超える値になるのは、明らかに『脂質異常症』ということになります。
やはり、基本的には、中性脂肪の値が30~149mg/dlを基準と考えて、この範囲に数値が収まるようにしておくことが健康を維持できます。
一時的ではなく継続して中性脂肪の値が、基準値内に収まるようにしていく必要があるので、毎日続けていけるような方法で適正な数値に保つことが重要です。
中性脂肪を下げるには、薬(医薬品)を使えば楽にさげることは可能です。
【 中性脂肪を下げる医薬品 】 フィブラート系薬剤・・・中性脂肪を分解 薬品名:ベザフィブラート、リピディル ニコチン酸類・・・肝臓で中性脂肪の合成を抑制 薬品名:ユベラ |
しかし、中性脂肪を継続的に基準値内にしておくには、これらの薬を毎日飲む必要があります。
長期で継続して服用するには副作用がどうしても起きやすくなってしまいます。
そのためにも、薬を使わないで中性脂肪を下げることが必要となります。
中性脂肪を下げるのに良い食事(食材)
中性脂肪を下げるのに良い食べ物が、さんまやかつお、いわし、さば、ぶりなどの青魚の脂に含まれるDHAやEPAと言われる成分です。
ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)という良質の油が多く含まれているのが、イワシやサバなどの青魚です。
青魚を食べる時には、焼き魚よりも、刺身や煮魚の方が栄養素を効率よく摂ることができます。
厚生労働省は、健康の維持・増進などのためにDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)を1日で1,000mgの摂取を推奨しているのですが、まったく足りていません。
10代~20代では、1,000mgの1/5以下、30代~40代でも1/3以下という非常に少ない摂取量となっています。
DHA・EPAがどんなに体に良くても、やっぱり魚は苦手だとか、毎日魚を食べるのはムリって人も多いです。
それならどうすれば良いか?ということになりますよね。
DHA・EPAを効果的に手軽に毎日摂る方法があるんです。
魚嫌いな人でも大丈夫な、魚臭くもない『きなり』というDHA・EPAサプリメントを活用するという方法があるんです。