『妊活』という言葉を聞くと不妊治療を思い浮かべる人も多いと思いますが、体質を改善して『妊娠しやすい体を作る』ことも妊活の基本です。では、『妊娠しやすい体』を作るためには、どうしたらよいのでしょうか?
『妊娠しやすい身体』とは?
妊娠するために最も必要な条件は、『元気な精子』と『質の良い卵子』が出会うことです。つまり、『妊娠しやすい身体を作る』ということは、少々の困難は克服してしまえるような『質の良い卵子を育てられる身体を作る』ということです。
『質の良い卵子』を育てることは、薬剤やホルモン投与、外科治療などの医療に頼らなくても、健康な女性なら誰にでも備わっている力です。生活習慣や食事などを見直すことで、女性の身体に本来備わっているはずの『妊娠する力』を取り戻し、健康的な妊娠を目指しましょう。
血流の改善
『質の良い卵子を育てられる身体を作る』ために考えなければいけないポイントは、次の通りです。
◎ 今の時点で卵巣に残された『卵子の元』をいかに大切にするか
◎ 卵巣機能をいかに高めていくのか
これら2点のポイントを実行するために最も重要なのは、血流を良くすることです。
血流は、卵巣や子宮が持つ唯一のライフラインで、働くために必要となる酸素や栄養素、ホルモン、免疫物質などを届けて、代謝によって不要となった二酸化炭素や老廃物を運び出すという役割を担っています。卵巣や子宮の機能を最大限働かせるためには、血流を良くすることが重要なのです。
そもそも卵巣や子宮は、全ての臓器の末端に位置するため、血流が悪くなると、その影響を大きく受けてしまいます。もしも卵巣の血流が悪くなると、卵子の正常な発育を阻害しかねません。また、子宮の血流が悪くなると、せっかく受精した卵子が子宮に着床(妊娠)しにくくなる上、たとえ着床しても、子宮自体の機能が低下しているため、流産などの危険性が高くなります。
血流が悪くなる原因は、冷えやストレス、運動不足などの生活習慣にかかわるものの他にも、毛細血管が細い、中性脂肪やコレステロールなどによるドロドロ血液といった原因もあります。
血流を改善するための6つのポイント
血流を改善するためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。
【冷えを予防する】
体温が低いと、血流が悪くなります。体を冷やさないためにも、
・シャワーだけで済まさず、ぬるま湯で30分以上は半身浴をしましょう。
・冷たい飲み物や生野菜などはできるだけ避け、加熱したものや温かいものを摂るようにしましょう。ごぼう、黒ゴマ、山芋、しょうがなどの黒い色の食材は、体を温める効果がありますので、意識して摂るようにしましょう。
【ストレスを溜めない】
ストレスを過剰に溜め込むと、血管が収縮して血流が悪くなります。また、女性ホルモンが正常に分泌されなくなったり、活性酸素の量が増えて、質の良い卵子の育成を阻害されかねません。ストレスを完全に避けることは難しいので、それぞれに合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
【適度な運動をする】
女性の場合は、体を動かすことで骨盤内の血流の滞りが解消されて、生殖器官の働きが促進されます。、散歩やジョギングなどの穏やかな有酸素運動を、1日40~60分程度継続して行うようにしましょう。
また、体が歪んでいると、そこで血管が圧迫されてしまい、血流が悪くなります。ストレッチやヨガなどで、身体の歪みを修正しましょう。
更に、運動することで、卵子の質を左右する『ミトコンドリア』の量が増えることも分かっています。
【鉄分の補給】
妊娠可能な年齢の女性は、月経や妊娠などで鉄分不足をおこすリスクが増加します。不妊を訴える人の9割が潜在的な『鉄欠乏性貧血』だとの報告もされているのです。
また、鉄分は幸せホルモン『セロトニン』の生成に不可欠です。これが不足すると、うつになったり、脳内の興奮が抑えきれなくなり、筋肉が緊張状態におかれることによって血行障害を起こします。鉄分を多く含むほうれん草やレバー、納豆、プルーンなどを毎日摂るようにしましょう。
【自律神経を整える】
自律神経が乱れると、血管が収縮して血流が悪くなります。また、自律神経は生殖機能とも深くかかわっているので、バランスを崩すと生理不順や不妊などの症状を引き起こすこともあります。
自律神経のバランスを整えるためには、毎日の入浴や、質の良い睡眠、腹式呼吸、バランスの取れた食生活などが大切です。暖かいお湯にゆっくりとつかるとリラックス効果があり、自律神経の乱れには効果的ですし、体が温まる事で深い睡眠にも繋がります。
更に、目が覚めたら朝日を浴びて、深呼吸をしましょう。目から太陽光が入ると、精神を安定させる『セロトニン』が分泌されますし、深い呼吸によって自律神経の働きを整えることが可能となります。
自律神経によって血液サラサラにも血液ドロドロにもなるんですか?は、こちら
【血液をサラサラにする】
血液がドロドロの状態だと、血流が悪くなったり、血管を傷つけたりします。血液がサラサラになると、細い毛細血管まで血液が入り込むことができ、全ての臓器の末端に位置する卵巣や子宮まで十分な酸素や栄養を届けることができるようになります。
妊活は、今、妊娠したい人だけがするものではなく、将来妊娠するための条件を今から整えていくためのものでもあります。生活習慣を改めることで感じられる様々な効果を楽しみながら、いつのまにか妊娠しやすい身体になっているというのが、妊活の理想なのではないでしょうか。