男性にとっても、女性にとっても髪は大切な体の一部です。美しく健康的な髪(美髪)を育てるためには、ヘアケア商品でお手入れすることも大切ですが、血流を良くすることも大いに重要です。
髪の毛が生えるしくみ
髪は、頭皮から外に出ている『毛幹部』と、中に潜っている『毛根部』に分けることができます。
この『毛根部』の根っこにある『毛母細胞』は、周りに張り巡らされる毛細血管を通して栄養や酸素を受け取り、自ら細胞分裂を繰り返して増殖します。
すると、古くなった『毛母細胞』は角質化して、毛穴の中を上へ上へと押し上げられ、ついには皮膚表面へ押し出されます。
この押し出されたものが髪の毛で、つまり、髪の毛として見えている部分は、既に死んでしまった『毛母細胞』の集まりなのです。
ヘアサイクル
髪は永久に伸び続けるわけではなく、寿命がくれば抜け落ちて、また同じ所から新しい髪が成長し始めます。
このサイクルをヘアサイクル(毛周期)と呼び、大きく3つの期間に分類することができます。
【成長期(3年~5年)】
毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、髪がどんどん伸びていく期間
【退行期(約1ヶ月)】
毛母細胞の細胞分裂が止まり、髪が抜け落ちるまでの期間
【休止期(約5ヶ月)】
髪が抜け落ちてから、 次の髪が作られるまでの期間
髪の毛と血流
頭皮の隅々まで血液が行き渡り、必要な栄養や酸素が潤沢に届けられれば、健康な髪を作り続けることができます。
しかし、頭部に網の目のように張り巡らされる毛細血管は、髪の毛の1/10の太さしかありません。
また、頭皮は心臓から遠く離れた末端に位置するため、体内の血流が悪くなると、頭皮まで血液が届かなくなってしまうのです。
血液が届かず、成長するために必要な栄養や酸素が得られなくなった『毛母細胞』は、活発な細胞分裂ができなくなり、ヘアサイクルが乱れます。
すると、まだ成長途中の髪の毛が伸び始めてしまったり、抜け落ちた後に新しい髪の毛が生まれてこないなどのトラブルを引き起こすことになります。
つまり、血流を促進して『毛母細胞』に十分な栄養を送ることが、健康的な美髪になるための最低条件となります。
血流の改善
頭部は、脳を働かせるために大量の血液を必要とする場所であるのに、心臓より高いところにあり、しかも、頸部という狭い部分を通過する必要があるため、血流が悪くなりがちです。
また、頭頂部には筋肉がないため、血液を筋肉の力で引き上げることもできず、望むだけの量の血液はなかなか頭皮まで回ってくることができません。
そこで、頭皮マッサージなどで、能動的に血液を循環させる必要があります。
頭皮マッサージは、朝と夜の1日2回、1回3~5分程度行うようにしましょう。
寝ている間は血流が悪くなるので、頭皮にむくみが溜まりやすく、それを解消するために行うのが朝のマッサージです。
また、夜に行うマッサージは、1日の汚れを浮き上がらせ、頭皮の疲れを取り除いてやるのが目的で、私達がお風呂に入るのと同じことです。
マッサージを行う時は、爪を立てたり、指の先で強く押すようなことはせず、指の腹を使って優しく行うことが大切です。
首のつけねや毛の生え際から、血管を意識しながら上へ上へとマッサージしましょう。
また、マッサージを行う時、少量のオリーブオイルを頭皮に塗ると、髪にツヤや潤いが出ると言われています。
これは、毛穴に詰まった皮脂や汚れを脂の力で浮き上がらせることができる上、オリーブオイルには抗酸化作用や血流改善、血液サラサラ効果など、髪にとって有効な成分が豊富に含まれているからです。
血液の改善
血流を悪くする要因として1番大きいものは、血液の状態です。
『毛母細胞』に栄養や酸素を届ける毛細血管はとても細いため、ドロドロの状態の血液では通ることができません。
いくら頭皮マッサージなどで血流を改善しようとしても、血液自体が悪ければ、頭皮まで登ってくることさえできないのです。
血液をサラサラの状態にして、血管を詰まらせることなく流れるようにしなくてはなりません。
日々の生活に有酸素運動を取り入れたり、血液をサラサラにする食材を積極的にメニューに組み込むようにしましょう。
髪は、見た目の美しさはもちろんですが、脳を衝撃から守ったり、体内に蓄積されている有害金属を体の外へ排出する働きもあります。
不健康な髪はこれらの機能を低下させてしまうことにも繋がります。健康な髪を保つように心掛けましょう。