サラサラで指通りなめらかな黒髪は、誰でも一度は憧れるものです。髪の洗い方やケアグッズ選びはもちろん大切ですが、健康な髪を育てる栄養をしっかり補うことも重要なポイントです。
髪の毛にとっての栄養?
髪の毛は、毛母細胞が角質化して、頭皮から押し出されたものの集まりです。つまり、髪が伸びるのは、髪が成長しているわけではなく、既に死んでしまった細胞が後から後から押し出されているだけなのです。
しかし、栄養が十分に足りていないと、正常な髪の毛にはなりません。髪の毛が必要とする栄養素は、髪そのものではなく、髪を作り出す毛根の部分に対して働いているからです。
生えてしまった髪の毛は、一度傷ついてしまうと修復することはできません。死んだ細胞を治療することはできないのです。だからこそ、しっかり栄養を補給して、正常な状態の髪の毛を作っていかなければならないのです。
髪の毛の成分
毛髪の成分は、『ケラチン』というたんぱく質が9割以上を占めていて、残りはメラニン色素、脂質、水などで構成されています。この『ケラチン』は、18種類ものアミノ酸が結合してできたもので、爪や皮膚なども同じ成分で作られています。
☆18種類のアミノ酸☆ ※ は必須アミノ酸 シスチン、グルタミン酸、ロイシン、アルギニン、セリン、アルパラギン酸、スレオニン、ブロリン、グリシン、チロシン、バリン、アラニン、フェニルアラニン、リジン、ヒスチジン、メチオニン、トリプトファン、ヒドロキシプリン |
これらのアミノ酸の中でも、美しい黒髪を作るために欠かせないのが『シスチン』と『チロシン』です。
『シスチン』は、『ケラチン』に1番多く含まれるアミノ酸で、髪を太く丈夫にする育毛効果や、活性酸素による頭皮の老化(薄毛・抜け毛の原因)を抑える働きがあります。
また、髪の色と関係しているのが『チロシン』です。黒髪を作り出すメラニン色素の原料なので、不足すると白髪になるという研究結果もあります。
原料となるたんぱく質を摂る
髪の主成分である『ケラチン』を作るためには、体内では作ることができない必須アミノ酸を含む18種類ものアミノ酸が必要となるため、それらは食事から摂取しなければなりません。
たんぱく質を摂ると、体内でアミノ酸に分解されます。この際、私達日本人の身体には、脂肪が少ない『植物性たんぱく質』の方が適しているようですが、健康維持のためには『動物性たんぱく質』もある程度食べる必要があります。不飽和脂肪酸が多い魚介類を選ぶか、焼いたり茹でたりして、できるだけ脂を落として食べるようにしましょう。
動物性たんぱく質:魚、肉、牛乳、乳製品、卵など
植物性たんぱく質:大豆製品、穀類など
頭皮環境を整えるビタミン群を摂る
食事で摂ったたんぱく質をアミノ酸に分解するためには、ビタミン群が必須です。特に、ビタミンA、B6、C 、Eを積極的に摂取しましょう。
【ビタミンA】
頭皮の新陳代謝を促したり、保湿をサポートする働きがあります。
多く含む食品 … 緑黄色野菜(ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなど)、ウナギなど。
【ビタミンB6】
たんぱく質の分解には欠かせず、頭皮の新陳代謝を活発にします。
多く含む食品 ・・・ 鮭、マグロ、サンマ、サバなどの青魚、鶏ささ身、ナッツ類、緑色野菜など。
【ビタミンC】
髪を太く強くするコラーゲンの生成を助けたり、強い抗酸化作用によって活性酸素を除去する働きがあります。更に、亜鉛の体内吸収を高める効果もあります。
多く含む食品 ・・・ 果物、芋類など。
【ビタミンE】
強い抗酸化作用を持ちます。更に、血流を良くして、頭皮への酸素と栄養の運搬をスムーズにします。
多く含む食品 … オリーブオイル、コーン油などの植物油、ナッツ類、ゴマ、玄米など。
たんぱく質を美髪に変える亜鉛を摂る
『亜鉛』は、髪の主成分である『ケラチン』の合成には欠かせない栄養素であるため、毎日の食事でどれだけたくさんのたんぱく質を摂取していても、『亜鉛』が不足していると、髪の成長には繋がりません。
しかし、『亜鉛』は不足しがちな栄養素である上、吸収率が悪く、失われやすい栄養素でもあります。飲んだアルコールを分解したり、ストレスを感じたりすることでも『亜鉛』は消費されてしまうのです。『亜鉛』が不足すると、抜け毛や白髪が増えるとされています。
多く含む食品 ・・・ 牡蠣、うなぎ、いわし、牛もも肉、レバー、アーモンド等。
ストレスが溜まったり、ダイエットで偏った食事制限をすると、急に白髪が増えたり、髪が抜けてしまったりすることがあります。これは、生きていくために直接必要な組織に栄養が優先され、髪は後回しにされてしまうからです。健康で美しい髪を手に入れるためには、バランスの良い栄養を十分に摂ることが必要です。