本来、血栓が出来るのには血管の傷口を止血するという意味があるのですが、それとは関係なく血のかたまりができて血栓になるケースも多々あります。出来てしまった血栓は、血管を詰まらせてカラダに異常な症状を引き起こす可能性が高くなるので、日頃から血栓が出来ないように注意しておく必要があります。
血栓が形成される原因
血のかたまりが詰まって血栓ができるのには3つの大きな要因があります。
① 血管内が傷つきやすい(血管の劣化) ② 血の流れが止まる(血流の停滞) ③ 血液ドロドロ(血液の変化) |
① 血管内が傷つきやすい
本来の血栓の役割である止血のために作られる血栓です。高脂血症、高血圧、肥満、糖尿病、喫煙やなどが原因となって血管が劣化して血管内皮細胞が傷つきやすくなります。その傷口を止血して塞ぐために血栓が作られます。
傷口の止血が完了して損傷を受けた場所が修復されると、血栓は必要なくなり溶けて消えるようになっています。(線溶作用と呼ばれる)
しかし、止血という役目を終えた血栓が溶けずに残ってしまい、血栓が大きくなって血管を詰まらせて虚血や梗塞を引き起こすことを血栓症と呼びます。また、はがれた血栓が血液によって流されて、別の場所の血管を詰まらせてしまうことを血栓塞栓症と呼びます。
② 血の流れが止まる
長時間、椅子に座ったまま同じ姿勢を続けていると、血流が悪くなったところに血管が圧迫され続けて、うっ血を起こし、血栓が生じてしまいます。特に『旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)』と呼ばれる飛行機内で長時間座っていることで発症する血栓は、じっとしていることに加えて、航空機内などが乾燥した空間であることや、低い気圧の影響で体内の水分が蒸発して減るため、血液の粘度が高くなります。
飛行機以外でも、同じ姿勢で座っている状態を長時間続けると、列車であろうとデスクワークであろうと映画館であろうと血栓ができる可能性はある訳です。
③ 血液ドロドロ
脂質異常症(高脂血症)や脱水症状時、妊娠や出産などは、血液成分が変化しているために血栓が生じやすくなります。
血液の流れは主に、血液の細胞成分である、赤血球・白血球・血小板の性質の変化によりますので、
・ 赤血球の変形する度合い(赤血球の膜が柔らかく、変形しやすいかどうか) ・ 白血球の粘着する度合い(白血球が活性酸素の酸化で傷つけられ、粘着しやすくなっているかどうか) ・ 血小板の凝集する度合い(血小板がくっつきやすい状態かどうか) |
によって変わってきます。
この赤血球・白血球・血小板の性質の変化によって、血液ドロドロであったりサラサラであったりする訳です。血液の粘性が高くなると、血栓ができる要因の①血管内が傷つきやすい(血管の劣化)、②血の流れが止まる(血流の停滞)場合においても、さらに血栓ができやすくなってしまうと言えます。
血栓が血管を詰まらせると
血栓が出来るということは、とっても危険なことです。血栓が血管を詰まらせて血液をそこから先には行かないようにしてしまうと、その先の臓器や細胞は酸素や栄養分を受け取ることができなくなるので、その部分は死んでしまうのです。
血栓が詰まる部分が、脳や心臓といった重要なパーツであると大変です。心臓の血管にできれば心筋梗塞や狭心症、脳の血管にできれば脳梗塞や脳卒中など、命にかかわる危険な症状が起るリスクが高まるのです。
予防策としては、血液サラサラ
血液サラサラにしておくことで、高脂血症、高血圧、肥満、糖尿病といった症状になりにくく、血管の劣化を防ぐことができます。また、血液サラサラにしておくことで、血液の流れが悪くなっても、血栓ができにくくなります。
血液サラサラで、赤血球の膜が柔らかく、変形しやすかったり、白血球の粘着する度合いが低かったり、血小板がくっつきやすくない状態であれば、血管内を血液は流れやすくなり、毛細血管においてもスムーズに流れることが出来ます。